付録C 等角写像と Carathéodory 収束
付録C 等角写像と Carathéodory 収束
STATUS: この節の主張は、定理・引用定理・発見法・予想を区別して読む。 STATUS: スケーリング極限や連続極限のうち本章で証明していない入力は、本文中で外部入力として扱う。
Riemann mapping theorem の使い方
Riemann mapping theorem は、単連結な真部分領域を円板または上半平面へ等角写像できることを保証する。本教材では、この定理を「過去を消した領域を標準領域へ戻す」ために使う。
ただし、定理は写像の一意性を与えない。上半平面の自己同型を固定する標準化が必要である。chordal Loewner では、終点を \(\infty\) に置き、hydrodynamic normalization を課すことで写像を一意にする。
Carathéodory 収束が必要になる場所
離散曲線の極限では、領域そのものも変化する。曲線が収束しても、補領域の等角写像がうまく収束するとは限らない。そこで Carathéodory 収束の考え方が必要になる。
直感的には、基点から見える領域の形がコンパクト集合上で安定することを要求する。Loewner chain では、hull の増大に伴って \(\mathbb H\setminus K_t\) が変わるため、標準化写像 \(g_t\) の収束を扱うときにこの考え方が現れる。
曲線収束との違い
曲線収束は、曲線の像と順序の収束を扱う。Carathéodory 収束は、補領域を基点から見た収束を扱う。駆動関数収束は、標準化後の先端像の実数過程の収束を扱う。三つは互いに関係するが、同じではない。
収束証明で収束位相を明示する理由はここにある。どこで曲線を見ているのか、どこで hull を見ているのか、どこで駆動関数を見ているのかを曖昧にすると、証明対象がすり替わる。